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まずは暗算力​!

​暗算力が最も大事
​次の足し算と掛け算、10問を何秒で解けるでしょうか?
(1)43+29    (2)23+16    (3)42+40   (4)49+19     (5)12+38 
(6)46+47    (7)38+3      (8)16+35   (9)11+26   (10)20+42
(1)77×6      (2)84×6     (3)90×10    (4)32×2      (5)49×7   
(6)8×81      (7)2×95     (8)9×60      (9)10×42   (10)7×35
これは萩学で小学生に毎週やらせている暗算力テストの一部です。私がモスクワで教えていた小学三年生の生徒は平均で上記の足し算を25秒、掛け算を40秒程度で解いていました。計算が早い子であれば足し算は20秒、掛け算は30秒で解きます。これは一般的な中学三年生よりも早いタイムです。

算数・数学で最も大事なのは暗算力です。計算力でもなければ、論理的思考力でもありません。最大の理由は学習効率の向上です。もしあなたのお子様が上記の足し算で100秒かかる場合、私が受け持つ三年生の子に比べて、問題を解くスピードが単純計算で4倍違うことになります。そうすると同じ時間でも解ける問題数が圧倒的に変わるので、学力の上がり方に大きな違いが生まれます。

「暗算すると計算ミスが増えるのでは?」と疑問に思う人がいるかもしれませんが、これは大きな間違いです。暗算力を鍛えることで解くのが早くなるため、検算(答えの確かめ)をする余裕が生まれます。また検算も暗算できるため、むしろ計算ミスはどんどん減っていくのです。

多くの学校や塾では「式は丁寧に書け、筆算をしろ」と指導されますが、萩学では「式はできるだけ書くな。できるだけ頭の中で処理をしろ」が基本です。それは短時間で最大の学習効果をあげるための指導なのです。

 
​算数ができなくなるのは単に何も考えてないから
「5は20の何倍か?」と子供に聞いてみてください。
多くの子が必ず「4倍」と自信を持って答えます。これは問題を解くときに何も考えていない子の典型的な例です。小学四年生は小数を学んでいないので、仕方がないところもありますが(それでも本当に頭のいい子は4倍とは答えません)、小学五年生以上でそのように答えたとしたら非常にまずい状態です。

ではなぜこのように答えてしまうのか?一つの理由は、学校の算数が何も考えなくてもある程度解けてしまうからです。多くの子供達は問題文を読み、その意味を考え、論理的に解いているわけではありません。記憶の中から以前やったことのある問題から似たようなパターンのものを思い出し、そのときのやり方をあてはめているだけです。つまり「考えて解いている」のではなく「記憶で解いている」のです。
 
今回の場合「何倍」というワードから割り算と判断し、さらに「5、20」という数字だけを見て「割り算はだいたい大きい数から小さい数を割るものだ」というこれまでの経験、記憶から割り算の順序を決めているだけということになります。つまり「は」や「の」といった言葉の​意味を無視して解いているのです。

萩学では全ての子に東京都の受験用のテキストを使って算数を学ばせます。受験用のテキストはレベルが高く、自分で頭を使わないと解けないようになっています。また私の場合、答えが合っていても「なんでこの式を書いたの?この式は何を出してるの?」と聞いて、その子のやったことを説明させることがあります。記憶で解いている子は自分で書いた式の意味すら理解できていないので、自分が何をやっているか、その式で出た数値が一体何を表しているのかすら、わかっていません。そんな状態で、まるでくじ引きのように当たったりはずれたりしているだけなのです。

「自分で説明できない式は一切書くな」と私は言い続けます。わからなくても何か式を書くことを創意工夫と見なす人もいますが、創意工夫というのはその行為の意味がわかる範囲でやることです。自分が何を何をやっているかもわからず、足したり割ったりすることは創意工夫でも何でもありません。まずは自分が何をやっているかを理解すること、それが算数を得意にするための一歩目なのです。
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